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マグロラーメン、クジラそば…「麺+海の幸」じわり人気【大漁!水産部長の魚トピックス】

2025年02月02日

 ラーメンやそうめん、日本そばにマグロやカツオ、ブリなどの魚やクジラをトッピングした料理が話題となっている。一見、ミスマッチとも思える「麺+海の幸」。店主らのこだわりやヘルシー志向で、人気がじわりと高まっている。(時事通信水産部長 川本大吾)

マグロラーメン、客の7割は女性

 東京・豊洲市場(江東区)に隣接し、昨年2月にオープンした施設「千客万来」にある「本まぐろそば 䱻(こつ)」は、マグロのラーメンが看板メニュー。クロマグロの中骨を長時間煮込んで作ったスープに、甘辛く煮込んだマグロの「ほほ肉」をチャーシューの代わりに乗せたラーメンが好評だ。

 店主は、「天然物では質にばらつきが出て、スープの味が安定しないため、養殖クロマグロを材料に使っている」とこだわりを説明。愛媛県の養殖業者から直接、クロマグロの骨やほほ肉を仕入れている。「マグロラーメン」を掲げる店は他にもあるが、クロマグロに限定したラーメンは珍しいという。

 マグロの骨は通常、廃棄される。その骨のスープへの活用は、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からも注目されている。豚や鳥などの肉を使わないため、健康面でも評価は高い。客の7割ほどが女性だという。インバウンドが多く訪れる「千客万来」の中で、同店の客層は日本人が大半を占め、多い日には200食が売れる。

クジラのおいしさ、修行時代に感動

 東京都中野区に昨年12月下旬、クジラ肉を使った日本そば店「たま貴」がオープンした。懐石料理やクジラ料理専門店での修業を経て独立した店主は、栃木県鹿沼市産のそば粉を使った「乱切りそば」に、クジラ肉などを盛った「くじら南蛮そば」と「くじらカレー南蛮そば」を考案してメニュー化した。

 店主は、くじらそば店の開業した理由を「寒暖の差を生かして生産された甘みがあって風味豊かな鹿沼産のそばと、修行で学んだ際においしさに感動を覚えたクジラを使って店を出そうと決めた」と振り返る。

 クジラには疲労回復効果がある成分「バレニン」が含まれているほか、肥満の予防作用もあるとされる。そばも健康食として知られており、店主は「そばとクジラのコラボは受けると思った」と説明する。

 一押しは、和風だしの温かいそばに、クジラの本皮、赤身肉の竜田揚げ、畝須(うねす)、脂須子(あぶらすのこ)を乗せたメニュー。このほかにも、クジラのさまざまな部位の刺し身や、クジラの肉を使った珍しい「ユッケ丼」など多様なメニューが用意されている。

そうめんに生魚「相性良い」

 東京都杉並区のそうめん専門店「阿波や壱兆」では、マグロやカツオ、ブリ、タイ、ヒラメといった魚の刺し身を使ったメニューが人気となっている。温かいスープに徳島名産の半田そうめんを投入し、その上に魚の刺し身を乗せる珍しい料理だ。

 肉や野菜となどのトッピングもあるが、店主は「生の魚はスープとの相性が良く、人気がある」と話す。定番ではなく、魚の旬などに合わせて週替わりのメニューとして用意しており、刺し身を乗せたそうめんに注文が集中するという。

 刺し身は、単に切り分けて乗せるだけではなく、昆布茶締めにしたり、粕漬けにしたりと、ひと手間加える。野菜と合わることも多く、味だけでなくヘルシー志向にも応えている。

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