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石破首相、核心避ける答弁 予算修正、裏金で立・維攻勢―政治改革、野党内に温度差も・代表質問

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【図解】衆院代表質問の主なやりとり

【図解】衆院代表質問の主なやりとり

  • 衆院本会議で立憲民主党の野田佳彦代表(右)の代表質問を聞く石破茂首相=27日午後、国会内

 通常国会での与野党論戦が27日、衆院本会議で始まった。少数与党の石破政権に対し、立憲民主党や日本維新の会は看板政策を掲げて2025年度予算案の修正を迫るとともに、自民党派閥の裏金事件も引き続き追及。石破茂首相は核心を避ける答弁が目立ち、目指す「熟議」の姿はまだ見えない。政治改革を巡っては野党内に温度差も見られ、今夏の参院選を意識した共闘の行方も注目されそうだ。

 ◇かみ合わぬ議論

 「民主主義、熟議の真価が問われる国会だ。かみ合う議論を期待したい」。27日の代表質問で、先陣を切って登壇した立民の野田佳彦代表は、首相を早速けん制した。

 今国会で最大の焦点は予算案の修正だ。自民、公明両党のみで衆院通過は望めず、野党の要求反映は不可避の状況。参院選に向け実績づくりも狙う野党の意気込みは強い。

 野田氏は24年度補正予算の修正に触れつつ、学校給食無償化やガソリン税見直し、社会保険料軽減を主張。同時に、膨張する国の債務を「生まれた時には借金の山だらけの『財政的な幼児虐待』だ」と指摘し、過去最大となった予算案の精査を進める意向を示した。

 維新の前原誠司共同代表も「教育への財政支出が一層必要だ」と訴え、所得制限のない高校無償化を来年度から実現するよう要求。給食無償化や社会保険料見直しでは立民と歩調を合わせた。

 これに対し、首相は原稿に目を落としながら慎重な答弁に終始。給食無償化について「現在進めている政策の効果を検証し、今後の対応を検討する」と賛否をあいまいにし、高校無償化も自公両党と維新の協議を見守る考えを示すにとどめた。

 一方、野田氏が「議論の拡散は避けるべきだ」と慎重姿勢を見せた衆院選挙制度改革については、首相が自民総裁の立場で「積極的な議論を期待する」とこだわりを見せる場面もあった。

 代表質問を終え、野田氏は記者団に「柔軟に自分の言葉で語ってほしかった」と答弁の物足りなさを口にした。前原氏は記者会見で、自公維の無償化協議について「このままでは折り合うのは難しい」と述べた。

 ◇企業献金で反撃

 裏金事件で、野田氏は野党各党が予算審議の条件とする旧安倍派会計責任者(当時)の衆院予算委員会への参考人招致に向け、「首相の決断を求めたい」と要請。首相はここでも「円滑な審議をぜひお願いしたい」と正面からの答弁を避けた。

 一方で、野党が禁止を求める企業・団体献金の扱いに関し、首相は「禁止より公開という考え方で信頼を確保していく」と存続の必要性を指摘。自民は27日の党政治改革本部などの会合で、年間1000万円以上を献金した企業・団体名の公表を柱とする政治資金規正法改正案を了承した。

 同改正案は、企業・団体による献金やパーティー券購入に際し、構成員の意思を尊重するよう規定。自民中堅は「労働組合から寄付を受ける立民などへの対抗だ」と認め、「こちらもやり返す」と息巻く。

 野党内では、維新が企業・団体献金の「全面禁止」を掲げるものの、労組の組織内議員を抱える立民や国民民主党には慎重論も根強い。結論を出す期限の3月末に向け、足並みがそろっているとは言い難い。

 「禁止論ではなく、公開が大事だという訴えを強化していく」。自民の小泉進次郎政治改革本部事務局長は会合後、記者団にこう強調。野党の歩み寄りに期待感をにじませた。

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